Statement

 

絵を描くという行為は、画家自身の心情や内面を強く反映させるものである。筆者の姿が描かれているかどうかに関わらず、全て画面に描かれた筆致や色彩に作者の行為の痕跡を残すことで、画家は、自己のアイデンティティを再確認したり、自身の内省的な部分を表出した。画家達は、キャンバスと向き合いながら常に自問自答を続け、自身の精神世界をキャンバスや展示空間に生み出しているのである。

化粧という行為も、絵画と同じく、皮膚を通じて自己の存在を確認している行為である。女性は、自己の感情や心情、欲望を、コンプレックスを隠したり美しく装うことで、自己の内省的な部分を化粧筆に込めて毎日自分の皮膚に丁寧に色をのせる。化粧品の色は心身共に一番身近な色材であり、女性は日々、化粧行為によって自己表現をしているのである。

絵を描くという行為と化粧行為は、自己の存在を確認する役割や、自己の心情や内面性を表す上で大きな役割を担っている。その為、私の描く絵は、全て自画像であり、自身が日々使用している化粧品で描かれた絵画は、より強く自身の存在を強く浮かび上がらせているのである。社会や文化が混迷し、自己という存在が社会の中で曖昧になっている今こそ、生を認識する為に、自我像を通して自己を見つめなおす必要がある。化粧品で描かれた絵画によって自己の存在や内面を再認識することは、混沌とした現代社会において、自分自身が今この時代をどう生きていくべきかを考える手掛かりとなるのである。